デザインは誰かの喜びを思い描くことからはじまる


デザイナー
本間 かりん/2022年 中途入社
山形県鶴岡市出身。県内の大学院を卒業後、職種を転々としているなかで「誰かを喜ばせることにパワーがみなぎる」ことに気がつき、好きなことを活かしたいと川島印刷に入社。現在はグラフィックデザインをメインにクライアントの販促ツールを制作しています。
入社の決め手
もともと芸術の分野に興味があり、高校卒業後は県内の芸術大学に進学しました。大学では主に東北各地の山間部集落でフィールドワークを行い、考古学、歴史学、民俗学を学ぶ傍ら、趣味で絵画を描くような学生生活を送ってきました。
大学院に進み、卒業後は県内の町おこしを支援する仕事に就きました。役場からの依頼で小学生から大人まで幅広い方を対象にワークショップを開催したり、学校で絵を教えたり、地域の行事に参加したり。芸術系の仕事以外にも、町主催のイベントポスターや商品のパッケージなど、デザインの仕事も独学でしていました。当時はこれらの仕事をひとりで行っていたのですが、徐々に「もっと誰かと一緒に仕事の楽しさを分かち合ったり、悩みを共有したりしたい」という思いが芽生え、自分自身の働き方を見つめ直し、新しいキャリアを歩むことを決断しました。
次の仕事を探す前に「自分がやりたいことはなんだろう?」と改めてじっくり考えました。今までは漠然と「好きなことを仕事にしたい」と考えていましたが、単純に「好きなこと」だけではなく「やりがい」がないと自分は仕事が続かないことに気がつきました。自分にとってやりがいはなんだろうと過去を振り返ったときに「そういえば、誰かの為にプレゼントを考えることがすごく楽しくて好きだったな。」「課題があれば解決したいし、解決に向けて動くことがエネルギーになる。」ことを思い出しました。これまでの仕事でイベントのポスターやチラシを作る際にも「相手の良さを引き出せるようなデザインを考えたい」と思いながら制作していました。このことから、デザイン関係の仕事に進みたいと思うようになりました。
県内でデザインをする会社を探していたときに、川島印刷のホームページを見つけました。ページを開くと真っ先に「キレイなだけのデザイン、作りません!」というフレーズが目に入り、自分がデザインをする上で大切にしたいことと考え方が同じでビックリしました。自社アピールばかりではなく、「お客様がその先のお客様に伝えたい想いを形にするために、常に同じ目線に立って、一緒に悩み考えることを心がけています。」というクライアントのその先まで考えている部分に惹かれて応募することを決めました。
コミュニケーションに苦手意識があり人間関係への不安も抱えていましたが、ホームページや社外報などから社員の顔が見えたことが安心に繋がり、親しみを覚えたことも入社の決め手になりました。
仕事とやりがい
主にチラシやポスターといった印刷物のデザインを担当しています。
入社したての頃は自分に自信が持てず、「クライアントに喜んでもらえるだろうか?」という不安ばかりを背負っていました。クライアントワークや先輩社員からの学びを繰り返し、入社から3年が経った今は楽しく仕事ができるようになりました。
特に成長するきっかけになった仕事が2つあります。
1つ目は、株式会社上杉コーポレーションさまの「米沢サムライビールラベル」制作です。先輩から挑戦してみてほしいというお声がけをいただき、デザインを担当することになりました。クライアントとの打ち合わせでは緊張で声が震え、思うようにハキハキ話せませんでした。しかし、先輩に「クライアントに出す以上、自信がないとは言っていられない」と叱咤激励され、そのとき初めて、自信がないことで自分のことばかり考えていたと気づかされました。自分はまだまだだなと思う反面、悔しい気持ちもありました。そこから何度も打ち合わせを重ねたり、先輩にフィードバックをもらいながら制作を進め、後半はしっかりクライアントと話ができるまでになりました。今では米沢サムライビールが米沢を代表するお土産になりつつありますし、クライアントにも喜んでいただけた思い出に残るお仕事です。改めてデザインは、自分じゃなくて本当にクライアントのことを考えないとできない仕事だと思いました。

2つ目は、「かねたん15周年記念カレンダー」制作です。これは初めて自分主体で動かした社内プロジェクトでした。デザインをするだけでなく、主担当として企画や段取りなど他の人たちを巻き込みながら進めていくことを学びました。この経験があってからは他の人たちと一緒に物事を進めていきやすくなったと感じるようになりました。
最近は、ただ表現をするだけでなくデザインの根っことなるコンセプトを決めることも増えてきました。最初は社内からの「助かったよ」「ありがとう」という言葉にやりがいを感じていましたが、徐々にクライアントが本当に求めているものを聞いて、それを形にすることが楽しいと思うようになりました。0から1を生み出すことが好きだという自分の新たな側面に気づけたことや、クライアントと密に関わり、直接喜んでもらえる瞬間を感じられることが、この仕事をやっていて良かったという気持ちに繋がっています。

今チャレンジしていること

会社が心意気デザインを掲げたこともあり、作り手の心意気を見つける力をつけたいと思っています。日頃の仕事でも、”引き出す力”と”見つけ出す力”を養いたい。そのためには物事を客観的に見る力が必要です。様々なことを知って視野を広げていくために、全国各地に旅行に行ったり、やったことがない体験を増やしていきたいです。例えば、少し前にご当地落語を聴く機会があったのですが、最初は興味がないと思ったことでも、体験したことでそのおもしろさを知ることができました。普段経験できないような機会があったらチャレンジしたいです。また、コミュニケーションに対して昔から苦手意識が根強く、それを理由に逃げたい気持ちが正直ありました。今も苦手意識を抱えて生きているのですが、クライアントの良さを引き出すことを第一に考えると、そこに甘んじるのは違うと仕事を通して学びました。当社の求めるデザイナー像はコミュニケーションが根幹にあります。この3年間で、入社当時と今では全く違う意識で働けているので、今後も努力していきたいです。
最近は組織体制が変わり、私が所属する部署も人員の入れ替えがありました。以前はチームをまとめたり、メンバーに意識を向けたりと、自分なりに働きかけをしてきました。心意気を見える化する組織として新しい体制になってからは所属するチームへの意識だけでなく、もっと会社全体を見るようになり、全員でミッション・ビジョンを目指したいという気持ちを持ち始めました。これから会社としてクライアントのコアに寄り添った仕事が増えていくと思うので、デザイン技術をもっと伸ばしながら、期待に応えられるようになりたいです。
会社の好きなところ

社員同士の関わりや人間関係です。話を聞いてくれる人が多いですし、相談事をすると解決できないか動いてくれる人がいます。ユーモアがある人も多いので、冗談を言い合う関係が好きです。他部署の社員とも仕事を通して話しますし、私の場合はプライベートで先輩・後輩と遊ぶことがあります。
あとは、自分で企画したことを自由にやらせてもらえる環境です。委員会活動の一環で紅花プロジェクトを始めたときは、たくさんの社員が関心を寄せてくれましたし、社外の人たちや地域との関わりを深めるきっかけになりました。やりたいことに対して否定せず、協力したり応えてくれる方が多く、いつもありがたいと思いながら仕事をしています。
私の心意気
『誰かの喜びを思い描く』
自分のためじゃなく、”誰かのため”という考えをずっとブレずに持っています。仕事をするときや何かを考えるときはいつも誰かを頭の中に浮かべていて、「喜んでもらえたらいいな」とか「この人がこういう風になるといいな」と、思い描いています。作り手の心意気をデザインする仕事だからこそ、この考えが原動力になっています。